Raspberry Pi用赤外線カメラの選び方
Raspberry Piにはカメラ専用のポートがついていて、簡単に接続して使うことができます。 夜間でも撮影が可能なRaspberry Pi用赤外線カメラが欲しくなってAmazonを見ると、色々な商品が売られていて結構迷いました。 今回は、購入した赤外線カメラのレビューと購入時に確認すべきポイントについて書いてみようと思います。
そもそも、赤外線カメラとは?
赤外線カメラ(夜間でも暗視できるカメラ)といっても特殊な素子が使われているわけではありません。 スマートフォンなどに使われているCCDは、もともと人間の目では見えない赤外線を捉えることができます。 ただ、赤外線に反応してしまうと目で見ているのと異なる画像になってしまうので、通常はCCDの手前に赤外線をカットするフィルターがついています。 なので、赤外線カメラといっても特別な素子が使われているわけではなく、この赤外線カットフィルターがないものが夜間撮影可能なカメラの正体になります。
純正品
今回は購入していないですが、RaspberryPi財団からも赤外線カメラがRaspberry Pi PiNoir Camera Moduleという名前で販売されています。
Raspberry Pi PiNoir Camera Module V2.1 | Raspberry Pi カメラモジュール
データシートには、
Featuring the same 8 megapixel image sensor as the standard Raspberry Pi camera with the infrared cut-off filter removed to increase IR light sensitivity.
とあるので、まさに通常のRaspberryPiカメラの赤外線カットフィルターなしバージョンです。 価格は3000円ぐらい。ただし、赤外線の照明はついてないので必要なら別途購入する必要があります。
実際にこのカメラを使って夜間撮影を試したITmediaの記事によると、夜間撮影には赤外線LEDを別途購入する必要があると思ったほうがよさそうです。
非純正品
Amazonを見ると謎の中国メーカが売っている夜間撮影可能なRaspberryPiカメラがたくさん売られています。 今回購入したものは以下の商品。2800円ぐらいでした。
組み立てマニュアルとドライバーまでついてきます。
組み立てるとこんな感じ。
このカメラと似た商品がたくさん売られていますが、微妙に仕様や内容物が異なるので購入する前に確認すべきポイントをメモしておきます。
昼間モードと夜間モードを切り替え
普通のカメラで撮ったような写真が撮れるノーマルモード(赤外線カットフィルターあり)と夜間モード(フィルターなし)を切り替えられるものと、切り替えられないものがあります。 切り替えられるものは、赤外線フィルターを出し入れする機構がついているためカメラの根元が太いです。 例えば以下の商品が切り替え機能付きです。
切り替えはカメラの横についてるGPIOピンか、RaspberryPiの設定ファイルを変更することで行うものが多いようです。 切り替えられなくても昼間の撮影は可能ですので、切り替え機能が必須というわけではないです。
今回購入したものは切り替えられないタイプのものです。用途に合わせて選びます。
付属のケーブル類
RaspberryPiとRaspberryPi zeroではケーブルの仕様が異なります。 どのカメラも大抵、RaspberryPi用のものはついてくるので心配無用ですが、RaspberryPi zero用のものはついてないこともあるのでzeroで使おうとしている場合は、両方付属するものを購入したほうが楽です。
放熱フィンの有無
カメラも赤外線LEDも割と発熱しますので、連続使用する場合は放熱フィンがついているものを選ぶと良いです。 別途購入したり、手持ちのものがあるなら付属してなくても大丈夫です。
赤外線ライト
Amazonで売っているものは、カメラの両側の端子から3.3V給電を受けて光るものが多いです。 カメラの横に直接取り付けるタイプのものは 基本的にOFFにすることはできません 。代わりにフォトレジスタと可変抵抗で明るさを調整できるようになっています。
可変抵抗で明るさを最弱ぐらいにすると、晴れた日の室内でほとんど点灯しているのがわからないぐらいの明るさになります。 逆に最大だと裏面がかなり熱くなります。 (ちなみに可変抵抗調整ねじはカメラにライトを固定するねじよりだいぶ小さいので精密ドライバーを別途用意する必要があります。)
1~2m先の物体を撮影するならかなり明るさを落としても十分撮影できました。撮影したいものが遠い場合は可変抵抗でかなり明るめに設定するか、別途赤外線LEDを購入する必要があるかもしれません。
一応、ライト単品でも販売されています。
スタンドの有無
すでに固定する場所が決まっている場合以外はついていると便利かも。 スタンドだけでも売ってますが、純正カメラ用が多いです。
カメラなしでスタンドとケーブルのセットという商品も販売されています(2個入りとはいえちょっと割高感ありますね)。
テスト撮影
カメラをつないで以下のコマンドを入力するだけで撮影できます。 (少し時間がかかりますが、自動でカメラの設定を調節してくれます)
raspistill -o test_pic.jpg
パソコンのディスプレイを試しに撮影した様子。少しピントがぼけていますが、ピント調整すると画面の字が読める程度にはマシになります。
赤外線フィルターがないので全体的にピンクがかって写ります。
Exif情報。結構詳細に記載されています。カメラのモデル名は「RP_OV5647」となっていました。安い中国製のカメラは大抵このカメラモジュールを使っている印象。
付属のスタンドだけだと撮影方向を微調整できないので、ヤザワ CLW9CH [クリップ ミニミニどっちもクリップ クローム]に取り付けてみました。位置を微調整しやすく、決めた位置でちゃんと固定されます。
RPi_Cam_Web_Interfaceをインストールしてベビーモニターとして使用しています。 github.com
同じアングルで、昼、夕方、夜に撮影してみました。全体的にそこまで画質はよくないですが、モニターとしては十分です。
太陽光が良く差し込む時間は、赤外線量が多いのか結構赤く映ります。 逆に室内照明(LEDシーリングライト)がついているとほとんど通常のカメラと変わりません。 同時刻に、以下は室内照明ONとOFFで撮影した映像です。
参考リンク
raspistillコマンドの使い方。
カメラモジュールの使い方の公式解説。
今回購入したカメラ。